「東進」と言えば株式会社ナガセのよって運営される「東進ハイスクール」と、そのフランチャイズジー「東進衛星予備校」を総称する、日本でも有数の予備校です。
予備校選びの基準は色々ありますが、口コミや評判なども気にされる方は多いでしょう。これは「東進」に限った話ではないものの、ネットなどで「高い」というワードをよく見かけます。
金額だけの問題では無いようなのですが、これらの評判について一体なぜなのかを解き明かします。
記事の内容
- 東進にまつわる「高い」という様々な噂
- 東進とはどんな予備校なのか
- 高い理由は有名講師が多いから?
- レベルはどのくらい高いのか
- 偏差値の信憑性の高さは?
- 判定するボーダーの信頼性の高さ
- 費用面で東進が高いというのは本当か?
- 東進の学費や費用は高いのか
- 高いと言われる授業料の真相
- 志望校合格コースは高い
- 高いと誤解されている夏期講習
- 値段が高くなってしまう根本原因
- 東進に通い高くて申し訳なく感じる学生
- 塾と比べどのくらい高い?
- 東進が高いかどうかは使い方次第
- 総括
東進にまつわる「高い」という様々な噂
受験生やその親だけではなくとも「いつやるの?今でしょ」という林修さんが発したフレーズが印象的なCMはご存じだと思います。
林修さんは東進ハイスクール・東進衛星予備校の国語科専任講師で、タレント活動が忙しい現在でも現役講師です。
そんな東進について、どのような予備校なのかと良い意味での「高い」について解説します。
東進とはどんな予備校なのか
1971年3月、東京都三鷹市でスタートした「ナガセ進学教室」を起源とした東進ですが、現在では直営の「東進ハイスクール」が約100校、フランチャイズの「東進衛星予備校」が約1000校という日本最大規模の予備校となりました。
予備校の中では他に先駆けて「現役学生中心」へ舵を切り、授業したスタイルも一部の例外を除きビデオの視聴によるなど、かなり特徴のある運営をしています。
また東進の合格実績は高校3年生時在籍(講習性や模試のみの生徒は含まない)していた現役生のみの数字で、これも他行に先駆け「現役学生中心」の運営スタイルをとっていた東進の特徴と言えます。
高い理由は有名講師が多いから?
東進といえば一時期CMでも話題になった有名講師が多数在籍していて、東進のセールスポイントであり特徴ともいえます。
このトップ講師の人たちは東進からの給与収入だけで5000万円とも言われており、これからもスカウトやヘッドハンティングして優秀な講師を集めている東進の企業努力が分かるというものです。
それは分かるとして、かけたコストは回収しなければ企業として成り立たないわけで、東進が高い理由は「講師に掛けているコスト」のせいなのかと思ってしまいます。
実際に講師の引き抜きには多額の契約金が必要だと言われており、「東進の受講料が高いのは講師にたくさん金を払っているから」ということも嘘とは言い切れません。
しかし東進は一流の講師を揃え、高い現役合格率を誇っている実績と比較して、それほど他の予備校より割高かというと”この話”はクレームの類と言って間違いないでしょう。世の中目立って日が当たるほど、その影も大きく見えてしまうものなのです。
レベルはどのくらい高いのか
一部には予備校選びの段階で「予備校に通う他の生徒とレベルが合わないのではないだろうか」と心配される方がいるようです。これはかつての対面式授業スタイルを想像すると分からなくもない考えです。
東進は選択した講座のビデオを視聴しながら学習する「自習スタイル」で、それを担任が補助する進め方のため、そもそも周囲のレベルを気にするものではありません。
また各生徒は自分の目標校やレベルに合わせた講座を組み合わせて学習するので、周囲のことより自分をしっかりコントロールするという高い意識がないと学力向上は難しい予備校です。
偏差値の信憑性の高さは?
偏差値は大学入試を考えるうえでなくてはならない指標です。レベルの高い大学を目指すほど高い偏差値が要求されるわけですが、大手予備校が発表している偏差値はそれぞれ独自の算出方法で計算されるため、簡単には比較ができません。
例えば某大学のある学部の偏差値は東進では66なのに、河合塾では57.5だったということはよく見られることです。
また偏差値をもとにランク付けされた大学入試の難易度も、何かと賛否の意見が分かれるポイントといえます。
では実際のところ東進が算出する偏差値の信ぴょう性はどうなのでしょうか。当たり前ですが東進の偏差値を参考にするためには「東進の試験を受けた結果の偏差値」と比較しなければなりません。
結論からいうと、東進の偏差値は信頼できる数値です。おおむね世間的な評判や知名度と近いものになっていますし、それをもとにしたランク分けも妥当なものだと言えます。
ただ偏差値をもとに大学・学部を11段階にランク付けしているので「あの学部はもう1ランク上じゃない?」という類の異論はどうしても出てしまうのが現実で、さすがにそれ以上の差異を指摘する声はないようです。
判定するボーダーの信頼性の高さ
大学入学共通テスト(旧:大学入学センター試験)が終わると受験生は自己採点の結果を予備校に提出し、それをもとにA判定からE判定の5段階で合否の可能性を判定します。
東進で行っているのは「合否判定システム」というものですが、判定ごとの合格確率は以下の通りです。
評価 | 合格の可能性 |
A評定 | 合格可能性80%以上 |
B評定 | 合格可能性65% |
C評定 | 合格可能性50% |
D評定 | 合格可能性35% |
E評定 | 合格可能性20%以下 |
つまりC判定が合否の確率が半々の「ボーダーライン」になるのですが、その判定の信頼性は高いのでしょうか。河合塾や駿台予備校と比べ受験生の自己採点提出率が低いので信頼性が劣ると言われます。
しかし他では考慮されていない2次試験の配点も加味しての判定であるため、東進に通う生徒にとっては十分信頼するに足る判定です。
さらに他の予備校の判定を含めて言えることですが、難関校になるほど2次試験の重要度は増すので、合否判定システムの結果だけで油断したり落胆したりするのは禁物です。
費用面で東進が高いというのは本当か?
物やサービスの対価が高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれです。
それは予備校の料金に関しても同じなのですが、高いと感じる人のほとんどは「成果が思うように出なかった人」か「料金システムをよく理解できていなかった人」です。
とはいえ全てがクレームの類かと言えばそうとも言い切れない部分もあります。
ここでは「東進は高い」とよく目にすることに関して、個別に事例を見ていき、なぜ高いと言われて(思って)しまうのかを考えていきます。
東進の学費や費用は高いのか
「東進は高い」という口コミをよく目にしますが、その口コミの多くで「平均で年間130万円から200万円くらい学費が必要」と言われています。
東進は基本的に現役学生が通う予備校なので、高校の学費に加えこれだけの出費であれば「高い」というのも頷けます。
ただ高く感じるポイントを整理していくと、人によってずいぶんと違いがあり、一括りにして「高い」というのは少々乱暴な評価だと言えます。
特に不幸にして志望校に合格できなかった場合、掛けた学費が無駄になったと感じるのは無理からぬことですので、口コミも「評価者のバックボーン」まで分からないと鵜呑みには出来ません。
高いと言われる授業料の真相
東進へ入学し掛かる費用は細かく分かれており、必ずかかる費用から自分で選択できるものまで様々です。そこで実際の料金について見ていくことにしましょう。
まずは必ず払わなければならない料金は下の表のとおりです。
項目 | 料金(税込) | 支払い必須 |
入学金 | 33,000円 | 必須 |
担任指導費 | 33,000円 | 必須 |
模試費用 | 12,650~29,700円 | 必須 |
通常講座(90分×20コマ) | 77,000円/年 | ー |
講習(90分×10コマ) | 38,500円/年 | ー |
大学入学共通テスト対策 | 77,000円/年 | ー |
高速基礎マスター | 77,000円/年 | ー |
志望校合格コース | 約30万円/年 | ー |
過去問演習講座 | 約9万円/年 | ー |
これを見ても分かるように、組み合わせ方によってはいくらでも高くなります。しかし個々の単価を見ていくと東進が飛びぬけて高いわけでもなく、河合塾や駿台予備校と同じような料金となっています。
志望校合格コースは高い
東進の「志望校合格コース」は高校3年生を対象として7月から9月の期間に購入できるコースで、金額も30万円とお高い金額となっています。
この時期になると第一志望校を目指した勉強の総仕上げを行うのですが、東進では志望校別に「志望校別単元ジャンル演習講座」を行っていて、これが合格を占ううえで肝になる部分です。
この時期まで東進で勉強を積み上げた生徒であればこの講座(単品)だけで十分と言える内容ですが、遅れを取り戻したいような生徒はこの講座に加え、たくさんの講座を受ける必要があります。
そんな生徒向けのコースが「志望校合格コース」で、「志望校別単元ジャンル演習講座」に加え、「単元集中受講」「第一志望校対策演習講座」「28単位分の講習パック」「ワンポイント解説授業」がセットになっています。この中の28単位分の講習パックが別に購入するよりかなりお得な部分です。
つまり志望校合格コースは使う生徒によって高くも安くも感じるコースなのです。
高いと誤解されている夏期講習
東進では夏休みや冬休みなどの長期休暇のタイミングで、通常講座と並行して受けられる特別講座が「夏期講習」(冬期講習もあります)です。その夏期講習のですが、最大の特徴と言えるのが「誰でも夏期講習のみ受講できる」ということと、「夏期講習のみだと入学金は不要」だということです。
つまり東進からすると「少しでも多くの学生に東進を経験してもらいたい」という宣伝的な要素もあるので入学金だけではなくテキスト代も無料となっています。ただ受講期間は短く「夏期講習」と言いながら、夏休み本番前には受講期間は終了します。
受講できるのは最大4講座で、1講座で90分の授業が5回となっており、1講座あたり19,250円の受講料が必要です。また1,2年生は基本無料で体験することができます。
値段が高くなってしまう根本原因
東進でかかる費用というのはどこで差がつくのか考えると、一番の原因は「受ける講義の数」ということになります。
東進に通って失敗する生徒で多いのが「担任に勧められるがまま」に多くの講義を受けてしまうパターンです。
直営校の東進ハイスクールではなく東進衛星予備校のほうでよく聞かれる話です。
約1000校もある東進衛星予備校はフランチャイジーであり、評判を聞いても学校ごとの人的クオリティや施設面で差が大きいようで、極端に営利主義な学校に入ってしまうと執拗な勧誘と、生徒のレベルや希望にそぐわない多くの講義を受けてしまう可能性が高くなります。
レベルに合わない講義を取っても勉強が身につくことはなく、なおかつ多数の講義をこなすことは物理的限界があります。
このような落とし穴にはまってしまうと「ほとんど勉強が身につかないのに多額の授業料を払った」という結果になってしまうのです。逆に明確な目標を持ち、なおかつ自分の強みや弱みを知っているような優秀な生徒であれば、低コストに抑えつつ、勉強の効果を最大限伸ばせるのも「東進」と言えます。
東進に通い高くて申し訳なく感じる学生
これは東進へ通う学生だけのことではありませんが、親に高い授業料を払ってもらい予備校に通うことを「申し訳なく」感じる学生は少なくないのではないでしょうか。よほど裕福でお金持ちの家庭なら関係ないことかもしれません。
しかし普通の家庭にとっては決して安い出費とはいえないことは事実です。
しかし学生の本分は勉強することであり、申し訳なく思う心があるのなら「一生懸命に勉強し、志望校へ合格すること」が、学費を出してくれている親への恩返しだということを肝に銘じましょう。
塾と比べどのくらい高い?
東進はいわゆる「予備校」というカテゴリーです。学校以外に学ぶ場所では他に「塾」というところもありますが、予備校と塾の違いを知るとともに、東進と一般的な塾とでは必要な費用・学費にどれくらい差があるか見てみましょう。
予備校と塾の違いは大きく2点あり、指導形式と学ぶ(教える)目的だと言えます。塾は「授業形式」で指導するため個別指導に近く、勉強の弱点克服など一人ひとりに合わせた指導が可能です。
一方予備校の方は「講義形式」で指導し、生徒は受け身で勉強することになります。この違いは目的の差にも表れていて、塾は個人ごとの「弱点克服」に重きが置かれていますが、予備校は「志望校合格」という明確な目標のための学びの場です。
そんな違いのある両者の費用を比べるのもどうかと思いますが、口コミでも評価の高い塾「東京個別指導学院」で高校生が週1回通った場合で年間約33万円となります。一見安く見えます。
しかし東進では学生向けに「週4回は通うようにしましょう」とアナウンスしていることから、1回あたりの費用では塾のほうが高いとも言えます。ただ方向性の違う予備校と塾なので、単純にどちらが高い安いとは言えないようです。
総括:東進が高いかどうかは使い方次第
東進に対する「高い」という評判について、実績や評価、そして気になる料金について解説してきました。ポイントをまとめると
東進が高いという噂について
- 先進的な取組みをしてきた東進
- 有名講師が多いから高いとは言い切れません
- 東進の偏差値や合否判定は信頼性が高い
気になる東進の学費は高いのかどうかについて
- よく目にする口コミの信憑性
- 東進の学費を確認しましょう
- 東進の志望校合格コースや夏期講習の実態とは
- 東進の学費が高くなってしまう人の特徴
- 塾と比べ東進は高いと言えるのか
日本において大学入学はごく一般的なことになりましたが、多くの学生やその親は当然「現役合格」を望んでいます。そんな方にとって東進は心強い予備校です。
ところが深く考えず東進を選択したり、合格までのビジョンを自分で描けなかったりするようでは、多額の費用をかけ何の成果も残らない可能性が高くなってしまいます。
入学しておきながら結果を出せず、しまいに「東進は高い」などと口コミすることにならないよう、他の選択を含めよく考えてから東進を利用することを強くお勧めします。