脱サラして飲食店開業【失敗した料理人と成功したド素人の実話】

脱サラ飲食店開業:失敗した料理人と成功したド素人

「脱サラして飲食店で成功したい」と本気で考える人は多いです。

これに対し、書籍やネット上の意見を見てみると「素人では無理だ」「成功するはずがない」「そもそも飲食店は利益率が悪すぎる」というようなネガティブな回答のオンパレードです。どこかの玄人に至っては「舐めるなよ」と言いたげに飲食店の厳しさをつらつらと書き綴っていました。

しかし、実際のところは違います。たとえ、素人であっても初期投資額が小さく利益効率の良いモデル選定さえできれば高い確率で成功するためです。その証拠として、実際に私の周りで起こった2つの事例をもとに解説します。

脱サラ後に飲食店を開業し、大成功した友人B氏と大失敗した知人A氏の実話です。

記事の内容

  • 個人開業とフランチャイズ
  • 個人開業に必要な能力
  • フランチャイズが失敗しにくい理由
  • 失敗したA氏と成功したB氏の違い
  • ド素人B氏の戦略
  • 実際のプロフィットを公開
  • 結論

執筆:フランチャイズLABO
執筆者経歴:元飲食店経営者・最大4店舗運営・年商2億5000万円以上・従業員数120人以上

脱サラ後に飲食店【個人開業とフランチャイズ】

脱サラ後に飲食店:個人開業とフランチャイズ

脱サラ後に飲食店を開業するとき、「個人開業」「FC起業」のどちらを選択すべきか理解する必要があります。もし、「個人開業」を選択する場合は茨の道が待っています。一方で、FC起業なら成功する確率は高まるでしょう。この理由について順番に解説していきます。

飲食店の個人開業=失敗する可能性あり

脱サラ後に飲食店を個人開業する場合、すべての人ではないものの失敗する可能性は高いです。経験を積まずに開業することで、適切な開業タスクをこなせないためです。

例えば、飲食店を個人開業する場合は次の能力が求められ、これには「判断・決定」も含まれます。

個人開業に必要な能力

  • 立地診断・商圏調査
  • 店舗開発・設計
  • 厨房オペレーションの構築
  • フロアオペレーションの構築
  • 商品開発
  • 原価・売価コントロール
  • 科目ごとの予算決め
  • 宣伝広告・販促
  • 従業員教育
  • 会計処理

上記のように、さまざまな項目に対し的確な判断が求められることになり、すべてを自身で決定しなければなりません。すでに成功している飲食店で管理職経験があれば話は別ですが、未経験脱サラ開業であれば不可能に近いと言えます。結果的に、鳴かず飛ばずの店に仕上がる可能性は高く、失敗する確率も上がります。

一方で、フランチャイズによる飲食店開業であれば上手くいく可能性は高いです。

フランチャイズの飲食店=失敗しにくい

フランチャイズであれば、前述した「1~7番」までをすべて準備してくれます。単に代行するだけでなく、すでに蓄積された成功事例をもとにブラッシュアップをかけてくれるため、失敗率を極限まで下げることが可能です。100%成功保証付きではないものの、FC起業であれば必然的に成功率は高まるということです。

また、フランチャイザーとジーは運命共同体であり、心強い味方が隣にいるとイメージしてください。

フランチャイザーの目的は加盟者を増やし、事業としての売上や利益を大きくすることです。それには、加盟店が永続的に繁栄し続けなければなりません。そうでなければ、ロイヤリティー収入は減少していき、事業そのものが衰退していくからです。FC本部が安定的に利益を確保するためには、加盟店の繁栄が必須だということです。

こうしたことから、加盟店を本気でサポートしてくれるFC本部は少なくありません。たとえ、脱サラ素人であってもです。

そもそも、フランチャイザーがターゲットを「経験者のみ」に絞った場合、需要が少なすぎてビジネスとして成り立ちません。むしろ、「素人でも成功できるモデルパッケージの提供」を主としているため、脱サラ開業はザーに大歓迎されるはずです。

一方、飲食店経験者の場合は「直営で自分の城を持ちたい」という思考をもつ傾向があります。その限りではないものの、特に日本料理や割烹、イタリアンやフレンチなど一定の技術が必要になる職務従事者に多いです。この属性はFC加盟したとしても、本部とぶつかり合うことが多く、あまり歓迎されないケースもあります。

つまり、FC本部のメインターゲットは初めから「ド素人」ということです。

素人でも飲食店を開業し、成功するための技術やオペレーション、マネジメントなどをパッケージングして提供するかわりに「ロイヤリティをください」という主旨でザーは事業を行っているわけです。こうしたことから、脱サラ後の飲食店開業は「フランチャイズのほうが成功しやすい」とわかります。

実際のところ、【加盟者の2人に1人が開業した事業と同種類の勤務経験(斯業(しぎょう))無し】という統計があります。

加盟者と非加 盟者の最大の違いは、開業した事業と同種類の 勤務経験、つまり斯業(しぎょう)経験の有無 にある。フランチャイズ加盟者は53.9%しか経 験者がいないのに対し、非加盟者の83.7%は斯 業経験を有している。これはフランチャイズの 利点が、斯業経験がなくとも容易に開業できる 点にあることを如実に示すものである。残りの 個人属性については、フランチャイズ加盟者に は高学歴者が多く、女性がやや少ないという特 徴がみられるが、創業の年齢や勤務経験には加 盟者と非加盟者間に大きな違いはない。

引用:ニッセイ基礎研 REPORT

脱サラして飲食店【失敗したA氏とB氏の違い】

脱サラして飲食店:失敗したA氏とB氏の違い

ここからは脱サラ後に飲食店を開業し、失敗した「料理人A氏」と成功した「ド素人B氏」の事例をもとに【違い】を解説します。

料理教室講師:脱サラして飲食店開業後に「大失敗」

A氏(料理講師)は学生時代に多くの飲食店でアルバイト経験し、それを活かすために料理教室の講師という職務に就いていました。数回お会いして会話する機会があり、料理に関する知識は非常に深いと感じました。また、実際の料理も評判が良く、多くの生徒やファンを抱えるほどの人気講師でもありました。

そんなA氏は、2012年4月に念願の飲食店を個人開業しました。しかし、2年も経過しない2013年8月に資金ショートで廃業することになります。理由はシンプルに「見込み売上高を達成できない期間が続いた」からです。そして、この結末はなるべくしてなったと言えます。

たったひとりで一から飲食店モデルを構築する場合、すべてがゼロスタートになります。そうなると前述の通り、「立地診断・商圏調査」「店舗開発・設計」「原価・売価コントロール」「科目ごとの予算決め」などを自身で行う必要があります。

もっと言うと、オープン時には「広告戦略」もやらなければなりません。何もしなければ開業しても「オープンしたことさえ知らない」というお客だらけになってしまうためです。こうした準備が必要にも関わらず、A氏は「料理の腕だけを武器に」出店してしまいました。つまり、重要なことを何もやっていないため、次のような「ミスマッチ」が起きたわけです。

準備不足によるミスマッチ

  • 商圏内には工場が多く働き盛りの男性たちが多いのに・・
    =料理のボリュームが少ない
  • 商圏内の平均世帯収入は低いのに・・
    =客単価は高め(1500円以上)
  • ランチメイン業態なのに味にこだわり過ぎた結果・・
    =原価率が高い(35%)
  • フロアオペレーションが上手く構築できておらず・・
    =アイドルタイムでさえスムーズに回らない
  • 予算が明確でないため・・
    人件費が毎月バラバラ
  • 商圏調査そのものが緩いため・・
    立地が悪い
  • 厨房オペレーションが悪いため・・
    提供時間が遅い。ただし、味だけは良い

上記の通り、唯一評価できる点は「味だけ」です。それ以外でこれだけのミスマッチが起これば負けるのは当たり前と言って良いでしょう。総合的に見れば、結局のところお客は満足しないからです。つまり、味だけ良くても「また来たい」「使いたい」とはならないということです。

このように、「美味しいものを提供したい!」という情熱だけで飲食店を始めると悲惨な結末が待っています。そうではなく、A氏が持っているスキルを活かしつつ「既に完成された飲食モデル」で勝負すれば結果は大きく異なっていたはずです。

零細企業の平社員:飲食ド素人の友人B氏

一方で、私の友人B氏は「超」が付くド素人です。彼は、飲食関係のアルバイト経験ゼロで料理や食の話すらしたことがありません。それにも関わらず、突然「俺も飲食店で独立することに決めた」「フランチャイズならいけるでしょ?」と言われたときには少し面食らったことを覚えています。

ただ、彼の「ド素人だからこそフランチャイズを選択する」という判断は非常に適切です。前述の通り、優秀なFCモデルなら未経験であっても成功確率が高まるためです。100%ではないものの、廃業率が10%未満なら90%以上の成功保証を得ることも可能です。一方で、個人開業であれば全くの未知数となってしまいます。

ただ、フランチャイズなら何でも良いわけでなく「期待値の高い儲かるモデル選定を行うこと」がポイントになります。つまり、「ローリスク・ハイリターンモデル」を選ぶ必要があるということです。

正直なところ、ここで運命は決まります。それほどにFCモデル選定は重要な成功要因です。単に自分がやりたいものを選ぶのではなく、興味のある業種の中から「初期投資額が小さく利益率の高いモデル」を選定します。決して、「利益率は悪いけど好きだからこのモデルにしよう」などと考えないようにしてください。

例えばB氏の場合、「月収700,000円以上を狙いたい」という目標のもとフランチャイズを選びました。料理に対するこだわりが一切なかったため、それだけにコミットしてモデル選定を行いました。その結果、思いのほかあっさりと願望を叶えてしまったわけです。

目標を叶える手順

B氏は、ただひたすらに飲食FCモデルの調査を繰り返し、「これなら達成できる可能性が高い」という業態を選んだだけです。具体的には、下記に注力して準備しました。

目標を叶える手順

  • FCモデルのプロフィットを複数確認
    ※自身で数字を打ち込んで利益率を算出
  • 市場推移を確認
    ※拡大傾向にあるか縮小か
  • 時代の流れ・背景の確認
    ※今後も伸びていく可能性はあるかどうか

上記の通り「1」を繰り返しつつ、「2・3」を調査したということです。ほんの少しだけ私からアドバイスしたものの、基本的には彼自身の力で適切なFCモデル選定を行ったわけです。この時点でほぼ勝ち戦は決まりました。

ここで、参考までに彼が参入したFCモデルのプロフィットを開示しておきます。

B氏の出店条件

まずは、出店条件からです。

出店条件】

  • 物件取得費用(仲介)/賃料25万円/1ヶ月/250,000円
  • 敷金6ヵ月:1,500,000円
  • 工事期間空家賃:1ヵ月/250,000円
  • 加盟金:1,500,000円 ※保証金含む
  • 研修期間経費:250,000円
  • 内外装工事費:10,500,000円 ※厨房設備含む
  • サイン(看板)工事費:900,000円
  • 運転資金:1,000,000円
  • 備品:500,000円
  • イニシャルコスト:16,650,000円

返済計画】

  • 自己資金:1,650,000円
  • 借入金:15,000,000円/金利2%/元金均等/10年返済
  • 初月返済額:150,000円
  • 総返済額:16,512,460円
  • 利息合計:1,512,460円
  • 利息割合:9.16%
  • 支払金利(変動):12,604円

【運営条件】

  • 35坪:郊外型駐車場タイプ
  • 想定売上高/単月:4,850,000円
  • 原価:1,500,000円
  • 地代家賃:250,000円
  • ロイヤリティ:3%
  • 正社員:1人 ※給与280,000円
  • オーナーも現場に出る

プロフィットを公開

ここからは単月ではあるものの、B氏が経営するFCモデルの平均値を公開していきます。ただ、あくまでも平均値であるため端数はカットしています。

B氏のFCモデルPL:4,850,000円/売上高
科目 数値 % 備考
売上高 4,850,000 100.0  
原価 1,500,000 30.9  
粗利益 3,350,000 69.1  
 
給与手当 1,225,200 25.3 ※正社員1名込み
福利厚生 44800 0.9  
採用広告費 50,000 1.0  
通信費 12,000 0.2  
販売促進費 25,000 0.5  
消耗品費 40,000 0.8  
修繕費(積立) 10,000 0.2 ※実際には計上されない経費
水道光熱費 248,000 5.1  
新聞図書費 10,000 0.2  
支払手数料 3,000 0.06  
地代家賃 250,000 5.2  
賃借料 0 0.0  
産廃処理費 12,000 0.2  
保険料(積立) 10,000 0.2 ※実際には計上されない経費
租税公課 0 0.0  
減価償却費 95,000 2.0 ※計上されるが実際には減らないお金
雑費 30,000 0.6  
施設管理費 10,000 0.2  
ロイヤリティ3% 145,500 3.0  
販売管理費 2,220,500 45.8  
 
営業利益 1,129,500 23.3  
支払利息 12,604 0.3  
経常利益 1,116,896 23.0  
 
借入元本返済額/月 150,000    
減価償却費 95,000    
減価償却値・借入元本相殺 55,000    
預金可能額(本部) 1,061,896    
オーナー所得可能額 743,327   ※預金可能額×70%

経常利益1,116,896円(23%)、預金可能額1,061,896円、オーナ所得可能額は743,327円というイメージです。もちろん、数字は毎月変動するものの平均値であるため、B氏は丁度いい感じで目標を達成しています。

その上「奥さん」もパートとして現場に出ているので、家庭に入ってくる収益は800,000円オーバーです。

脱サラ未経験で飲食店開業=FCなら可能性あり

このように、脱サラ未経験であってもフランチャイズなら十分可能性はあります。B氏のように、きちんと準備さえ行えば成功事例は多いためです。一方で、たとえ経験者であっても個人開業は難しいのが実情です。つまり、脱サラで飲食業界に飛び込むなら「フランチャイズ一択である」ということです。もし、未経験なら尚更です。

ただ、フランチャイズ起業した全員が成功するわけでなく、一定数の人は失敗する事実があります。

フランチャイズで飲食店【失敗することもある】

どれだけ優秀なFCモデルであっても「廃業率0%」は滅多になく、私の知る限り塾FCの「ワム」だけです。あとは、廃業率2%の「おそうじ本舗」が追随する程度であり、多くのFC は廃業率10%以下に抑えるのが精一杯な状況です。

つまり、理由は明確できないものの、加盟者の一定数は失敗し廃業していきます。どれだけ準備しても100%成功保証はあり得ないということです。唯一、廃業率0%のワムであっても時間の経過と共にいずれ失敗する人間は出てくるでしょう。

こうしたことを理解し、覚悟を持って挑戦するようにしてください。

総括:脱サラ未経験で飲食店開業=FC一択

記事のポイントをまとめます。

脱サラ後の個人開業は難しい
※繁盛店で管理職経験があれば話は別

フランチャイズなら成功率は高まる
※成功事例を共有・再現できる

フランチャイザーは「未経験者」を求めている
※そのためのFCパッケージ
※事実、2人にひとりは未経験

料理の腕は重要ではない
※準備不足によるミスマッチに注意

FCは「ローリスク・ハイリターンモデル」を選ぶべき
※イニシャルコストは低く利益率が高いモデル

目標を叶える手順

  • FCモデルのプロフィットを複数確認
    ※自身で数字を打ち込んで利益率を算出
  • 市場推移を確認
    ※拡大傾向にあるか縮小か
  • 時代の流れ・背景の確認
    ※今後も伸びていく可能性はあるかどうか

脱サラ飲食店開業ならフランチャイズ一択
※ただし、成功保証100%ではない

▽▽脱サラ飲食店起業を考えている人は、下記情報もチェックしてください。

 

フランチャイズ起業するとき、多くの人は「有名だから」「儲かりそうだから」というような感覚値で行動しようとします。確かに、ネームバリューがあり店舗も増え続けているFCであれば上手くいくこともあります。

しかし、その一方で「広告が上手い」という理由だけで有名になってしまうFCモデルも存在します。つまり、全く儲からないにも関わらず、ブランディングや集客技術が高いことで加盟者が増加する現象が起きているのです。もちろん、加盟者は利益をあげることができず、結果的に苦しい生活を送ることになります。

フランチャイズ本部のキャッチコピーや収益モデルを鵜呑みにしてはいけない、ということです。そして、真実を解き明かすためには、自身で収益モデル分析を行えるようになる必要があります。開業前資金やイニシャルコスト、借入返済計画や損益計算書などを独自に作成できなければならないということです。

もちろん、本部が開示している数値を当て込むだけでは意味がないため、内外装工事における平均坪単価を調べたり、一般的な物件取得費用を理解したりする必要があるわけです。

もっと言えば、ランニングコストとなる「採用教育費」「広告宣伝費」「福利厚生」「通信費」「光熱費」「地代・家賃」「雑費」「租税公課」といった項目に適切な数値を入れることで、ようやく「本当に儲かるのかどうか」がわかるようになるのです。つまり、経験値から生まれる「プロの視点」が求められるということです。

ただ、そうは言っても多くの人は素人であるため、不可能な話です。そこで、私が代行してすべての数値を明らかにし、「現実的に儲かる可能性の高いFCモデルのみ」部門別、かつランキング形式で掲載しています。「真実の数値」を解き明かし、その根拠を理解することでフランチャイズビジネスは成功します。

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