フランチャイズ閉店率は【30~35%】事業継続に必要なポイント

フランチャイズ:閉店率

企業の持続性をはかる指標として『5年生存率』というものがあります。これは、「創業してから5年後にどれくらいの確率で生き残っているか」というものであり、フランチャイズ閉店率に関しては30~35%です。様々な指標があるものの、フランチャイズモデルを利用して開業した場合の平均的な5年生存率は、「約65~70%」とされています。

(※)社団法人日本フランチャイズチェーン協会『各年度のフランチャイズチェーン店舗数の統計データ』及び経済産業省『我が国のフランチャイズの現状』より算出した数値

そこで、フランチャイズ開業と個人での独立開業を比較しながら、両者の閉店(廃業)率や事業継続に必要なポイント、開業の仕方によるメリット・デメリットについて解説します。

記事の内容

  • フランチャイズの閉店(廃業)率
  • 個人で独立開業した場合の閉店率
  • 事業継続に必要なポイント2つ
  • 5つの「資源」
  • 6つの「リソース」
  • 個人開業のメリット・デメリット
  • フランチャイズ起業のメリット・デメリット
  • 総括

執筆:フランチャイズLABO
経歴:元飲食店経営者・最大4店舗運営・年商2億5000万円~従業員数120人~

フランチャイズの閉店率:個人開業の廃業率

フランチャイズ:廃業率

前述の通り、フランチャイズ起業後の閉店率は30~35%です。一方、個人で独立開業した場合の『5年生存率』はどれほどになるのでしょうか。

中小企業庁の発表する『中小企業白書』によると、起業してから5年間、事業を継続できる企業は「約40%」となっています。つまり、起業してから5年間で「約60%」の人は廃業しているわけです。そして、これは全業種の合算値であるため、起業と廃業の著しい「飲食業」などでは、もっと厳しい数字になるのが現実です。

このことから、FCより個人での独立開業リスクのほうが遥かに高いとわかります。

廃業しない:事業継続に必要な【資源・リソース管理】

個人開業であれ、フランチャイズ経営であれ、事業マネジメントに必要なものは「資源」「リソース管理」の2つです。これらをきちんと理解すれば、閉店(廃業)リスクを大きく低減させることが可能です。

ここで、「資源」「リソース管理」が個人やフランチャイズ起業にどう作用するかについて、メリット・デメリットを含め解説します。

経営に必要な5つの資源

一般的に、企業の経営に必要な「資源」は以下5つとされており、これらがないと事業継続は不可能です。

5つの資源

  • ヒト(人的資源):経営資源の中で最も重要なのが「ヒト」であり、「モノ」「カネ」「情報」など全てを動かす原動力
  •  モノ:オフィスや店舗、その中の設備に至るまで企業の保有する物理的な資源
  • カネ:開業費用や賃貸料、給与や設備購入費など「ヒト」「モノ」「情報」などを使用する際に必要な資源
  • 情報:市場の動向や顧客情報、経営のノウハウなど無形の資源
  • その他(時間や知的財産):「カネ」では入手できない「時間(自由な時間)」などの資源

経営に必要な6つのリソース管理

次に、経営に必要な6つのリソース管理です。一般的には以下6つとされており、前述した「資源」を管理するための「マネジメント方法(能力)」を指します。

6つのリソース管理

  • 「ヒト」の管理(HRM:Human Resource Management):最も重要な資産である「ヒト」の、「ストレス管理」「スキル管理」「(採用など)人事管理」など
  • 「モノ」のマネジメント:備品や設備の購入、レンタルやリースなど運用決定マネジメント力
  • 「カネ」のマネジメント:人材育成費(マニュアルの作成)、設備投資費の捻出など
  • 情報マネジメント:業界情報の精査や社内情報の共有、社外への発信など
  • タイムマネジメント:営業時間やシフト管理、業務改善など「ムダの排除」、業務の優先順位決定などのマネジメント力
  • 知的財産のマネジメント:特許技術などを法律的に保護・管理することや、他社の特許を使用する際の管理など

個人開業のメリット・デメリット

個人開業のメリットは、経営に必要な「資源」「リソース管理」などを、規則に縛られることなく、オーナー自身の判断で自由に動かせる点です。

「店名」などは勿論、「営業時間」「従業員の雇用」など、全てを自由に判断することが可能です。一方、フランチャイズ起業であれば、契約先である「本部規則」に従う必要があるためそうはいきません。オーナーの裁量が効く点は、個人起業最大のメリットと言えるでしょう。

しかし「自由」の裏返しが、デメリットとも言えます。

潤沢な「資源」「リソース管理能力」などを、開業前から揃えられる場合は問題ありませんが、個人開業ではそれが難しいです。出店先の選定から事業計画、フロア・厨房オペレーション構築など全てをオーナー自身が決定しなければならないためです。例えば、事業計画の作成だけでも時間や労力は奪われ、適切なものでなければ銀行融資が通らないこともあります。

また、無事に開業できたとしても、運営ノウハウや人員補充、その他情報資源が圧倒的に不足し、その結果「オーナー自身の自由が利かなくなる」ということも起こり得ます。個人開業は「自由に決められる」というメリットに反し、「オーナー自身の時間的自由が奪われる」という状況に陥りやすいです。

これら要因が、「リソース管理不足」を招き、結果的には開業しても「5年間持たずに廃業してしまう」というリスクに繋がるということです。

フランチャイズ開業のメリット・デメリット

対してフランチャイズを利用した開業の場合、スタート時点でのメリットは多いのが特徴です。

まずフランチャイズ契約を結ぶ提携先の「本部」は、全国の店舗情報を持っています。この情報には、自身だけでは得られない様々な成功と失敗経験、売り上げアップの方法や人材育成ノウハウなど、多くの「資源」が含まれています。

また「リソース管理」に関しても、予め「本部」によって決められた規則などがあるため、苦労することはありません。さらに、提携する企業自体の「信用度」が高ければ高いほど、好立地への出店が可能であったり、銀行融資が通りやすかったりするメリットがあります。

つまり、FC起業であれば開業時から「資源」「リソース管理」など、事業マネジメントに必要なモノがほぼ全て整っています。こうした背景から、フランチャイズ起業の5年生存率は高くなっているということです。

しかし、当然ながらフランチャイズにもデメリットはあります。

個人での事業運営であれば、売上はすべてオーナー自身の持ち分となります。しかしフランチャイズでは、契約先企業の看板を借りているため、契約上「ロイヤリティ(権利使用料)」を毎月上納しなければなりません。収益すべてをオーナー自身のものにできない点は、フランチャイズのデメリットと言えるでしょう。なお、ロイヤリティのパーセンテージは企業により異なりますが、売上げの数%程度という金額が一般的です。

他にも、フランチャイズ契約には基本的に「運営年数の縛り」があり、オーナーを苦しめることもあります。運営を辞めたいときにやめられないからです。

例えば、起業しても想定利益を下回る期間が続けば赤字を垂れ流すことになります。通常であれば、キャッシュアウトする前に融資を受けるか店を畳むか検討するはずです。しかし、個人会社でなくフランチャイズであれば「融資を受けて継続」「本部に違約金を支払い廃業」のどちらかしか選択できません。契約期間に対する縛りがあるため、店を辞めたいときに畳めないデメリットが付きまとうからです。

なお、運営年数の縛りは企業により異なり、1~3年、5~10年などがあります。また、長い場合は15年縛りなども存在するため、契約書にサインするときは慎重に精査すべきです。

総括:フランチャイズの閉店率は低い

以上のように、個人での独立開業とフランチャイズ開業を比較しながら、両者の閉店(廃業)率、事業継続に必要なポイント、それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。

以下にまとめます。

フランチャイズの閉店(廃業)率=30~35%/5年間

個人開業した場合の閉店率=60%/5年間

事業運営を行うにあたり、経営には「資源」「リソース管理」が不可欠

個人開業のメリット=オーナーに全ての決定権がある

個人開業のデメリット=「資源」「リソース管理」が不足している

フランチャイズ開業のメリット=「資源」「リソース管理」などがスタート時点で揃っている

フランチャイズ開業のデメリット=契約上本部の規則に従わなければならず、「ロイヤリティ」「運営年数の縛り」などがある

そうは言っても、フランチャイズ起業のほうが成功確率は高い

参考

フランチャイズが儲かる理由【勝の目しか出ない起業術】

 

フランチャイズ起業するとき、多くの人は「有名だから」「儲かりそうだから」というような感覚値で行動しようとします。確かに、ネームバリューがあり店舗も増え続けているFCであれば上手くいくこともあります。

しかし、その一方で「広告が上手い」という理由だけで有名になってしまうFCモデルも存在します。つまり、全く儲からないにも関わらず、ブランディングや集客技術が高いことで加盟者が増加する現象が起きているのです。もちろん、加盟者は利益をあげることができず、結果的に苦しい生活を送ることになります。

フランチャイズ本部のキャッチコピーや収益モデルを鵜呑みにしてはいけない、ということです。そして、真実を解き明かすためには、自身で収益モデル分析を行えるようになる必要があります。開業前資金やイニシャルコスト、借入返済計画や損益計算書などを独自に作成できなければならないということです。

もちろん、本部が開示している数値を当て込むだけでは意味がないため、内外装工事における平均坪単価を調べたり、一般的な物件取得費用を理解したりする必要があるわけです。

もっと言えば、ランニングコストとなる「採用教育費」「広告宣伝費」「福利厚生」「通信費」「光熱費」「地代・家賃」「雑費」「租税公課」といった項目に適切な数値を入れることで、ようやく「本当に儲かるのかどうか」がわかるようになるのです。つまり、経験値から生まれる「プロの視点」が求められるということです。

ただ、そうは言っても多くの人は素人であるため、不可能な話です。そこで、私が代行してすべての数値を明らかにし、「現実的に儲かる可能性の高いFCモデルのみ」部門別、かつランキング形式で掲載しています。「真実の数値」を解き明かし、その根拠を理解することでフランチャイズビジネスは成功します。

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