フランチャイズ契約はクーリングオフできない!ただし、例外あり

契約

フランチャイズ経営を行うには、フランチャイズ本部との「フランチャイズ契約」を行う必要があります。このフランチャイズ契約は、一度契約をするとクーリング・オフすることはできません。

なぜ、クーリング・オフができないのか?について、本記事では「クーリング・オフの適用範囲」などに焦点をあてて理由を解説します。

記事の内容

  • フランチャイズ契約のクーリングオフ:制度について
    「特定商取引法」とよばれる法律に関連
  • 消費者庁の特定商取引法ガイド
  • クーリング・オフの期間を一覧化
    訪問販売・キャッチセールス
    通信販売(インターネット・TVなどの通販)
    電話勧誘販売
    連鎖販売取引(マルチ商法)
    業務提供誘引販売取引(内職商法)
    特定継続的役務提供(エステサロン・語学教室など)
    訪問購入
  • フランチャイズ契約はクーリングオフできない理由
  • 民法上の『事業者間の契約』にあたる
  • 【例外】クーリングオフできる場合
    「フランチャイズ商法」に合致するとき
  • フランチャイズ契約はクーリング・オフ制度の対象外
  • 総括

執筆:フランチャイズLABO
経歴:元飲食店経営者・最大4店舗運営・年商2億5000万円~従業員数120人~

フランチャイズ契約のクーリングオフ:制度について

契約破棄

いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、一定の期間であれば無条件で契約を撤回・解除できる制度を「クーリング・オフ」といいます。多くは「特定商取引法」とよばれる法律に関連しており、「消費者保護」の観点より、クーリング・オフを可能としています。(※1)

ただし、我々の日常にある全ての契約にクーリング・オフを適用できるわけではありません。そもそも「契約」というのは、双方合意のもとに締結されるものであり、片方の言い分や申し出により勝手に撤回・解除することは本来できないものです。

しかし、商取引の中には、消費者に考える時間を与えないまま契約を結ばせてしまう事業者もおり、このような契約は消費者にとって不利益となる場合もあります。そのような強引であったり、熟考できない状況で結ばされた契約などから消費者を守るために、クーリング・オフの制度が設けられています。

なお、消費者庁の『特定商取引法ガイド』によると、トラブルの起きやすい契約を以下の7つの取引類型としており、その内2番「通信販売」を除いた6つの契約においては、クーリング・オフの制度が適用されるとしています。(※2)

消費者庁の特定商取引法ガイド

7つの取引類型

  1. 訪問販売・キャッチセールス
  2. 通信販売(インターネット・TVなどの通販)
  3. 電話勧誘販売
  4. 連鎖販売取引(マルチ商法)
  5. 業務提供誘引販売取引(内職商法)
  6. 特定継続的役務提供(エステサロン・語学教室など)
  7. 訪問購入

出典:特定商取引法ガイド

また、1および3から7の取引類型は、クーリング・オフの期間が異なります。以下は特定商取引法で言及されているクーリング・オフの期間を一覧化したものです。

クーリング・オフの期間を一覧化

クーリング・オフの期間 対象の取引類型【根拠となる該当条項】

消費者が契約書を受け取った日を含めて

8日間

1.訪問販売 【特商法第九条】
3.電話勧誘販売【特商法第二十四条】
6.特定継続的役務提供【特商法第四十八条】
7.訪問購入【特商法第五十八条の14】

消費者が契約書を受け取った日を含めて

20日間

4.連鎖販売取引【特商法第四十条】
5.業務提供誘引販売取引【特商法第五十八条】

出典:豊島区『特定商取引法とクーリングオフ制度』を参考に筆者作

※1:「特定商取引法」以外にも、「割賦販売法」や「保険業法」などでもクーリングオフについて定められており、商品やサービスにより関連法律は多岐にわたります。しかし、どの法律においてもクーリング・オフ制度が「消費者保護」という観点で適用されることに変わりはありません。

※2:7つの取引類型の内、ネットショッピングなどを含む「通信販売」はクーリング・オフの対象外とされています。消費者庁の『契約について理解しよう!』によると、「消費者が前もって広告や画面等を確認し、自発的に申込みをする不意打ち性のない取引のためです。」としています。

フランチャイズ契約はクーリングオフできない理由

協定

冒頭でも解説したとおり、フランチャイズ契約はクーリング・オフができません。フランチャイズ契約は、先ほど解説したクーリング・オフの対象となる「6つの取引類型」に入っていないからです。また、フランチャイズ契約には、クーリング・オフの対象となるべき「消費者」も不在だからです。

もうすこし、詳しく解説します。

民法上の『事業者間の契約』にあたる

一般的に、フランチャイズビジネスを始める際は、オーナーとフランチャイズ本部との間で、「フランチャイズ契約」を結ぶことになります。この契約は民法上の『事業者間の契約』にあたり、先に解説した「特定商取引法」は適用されません。

また、フランチャイズ契約は事業者間の契約であることから、フランチャイズ本部とオーナー(事業者)は、立場上「対等」との位置づけとなります。つまり、クーリング・オフの制度が趣旨とする「消費者保護」という観点で見た場合、フランチャイズ契約にはそもそも「消費者」が不在との解釈になります。

以上の点から、フランチャイズ契約はクーリング・オフができないこととなっています(※3)

※3:参考資料:中小企業庁『事業者間の取引に関しては、クーリング・オフは適用されません』

【例外】クーリングオフできる場合

取り交わした契約書の中身が「フランチャイズ商法」に合致する場合、クーリング・オフの制度を適用できる場合がある、とされています。ただし、「フランチャイズ商法」とは、フランチャイズ募集に見せかけた契約で、厳密には「フランチャイズ契約」ではありません。

この「フランチャイズ商法」における契約の中身は、加盟者(契約者)から加盟金や研修費を徴収することのみを目的としています。このような契約の場合は『事業者間の契約』とはならず、「消費者契約法」に該当するクーリング・オフを適用できる、との考え方です。(※4)

また、加盟者募集時の内容が、「連鎖販売取引」や「業務提供誘引販売取引」などに該当する場合があった場合は、加盟者(契約者)を「消費者」とみなし、クーリング・オフを適用する、という考え方にも当てはまります。

いずれにしても、フランチャイズ契約とは名ばかりの契約内容となっているため、契約を行う際は内容を確かめ、不明点などはクリアにしてから締結する必要があります。また、どうしても契約内容に不安を覚える場合は、弁護士や当サイトなどの専門家に相談することをお勧めします。

※4:特定商取引法では、クーリング・オフ制度が適用される販売方法を限定しているのに対して、「消費者契約法」は全ての消費者契約(消費者と事業者との契約)を対象にしています。 ただし、消費者契約法は悪質な事業者に罰金等を科すものを目的としておらず、消費者自らが事業者に対して「不当性」を主張するための民事ルールという位置づけです。つまり、不当な勧誘・募集に対して、取消しを主張するという消費者自らの主体的な行動が求められているのです。

総括:フランチャイズ契約はクーリング・オフ制度の対象外

今回の記事では、『フランチャイズ契約はクーリングオフできない』と題して、クーリング・オフ制度の中身・対象範囲を中心に解説しました。簡単にまとめます。

  • クーリング・オフは「消費者保護」の観点で適用される制度である
  • 定められた6つの「契約類型」に該当する場合、クーリング・オフの適用が許され、一定期間内であれば無条件で契約の撤回・解除が可能である
  • クーリング・オフの適用期間は、基本的には「8日間」または「20日間」であり、契約類型によって決められている
  • フランチャイズ契約は、「6つの取引類型」には当てはまらない
  • フランチャイズ契約は、本部と加盟者による「事業者間契約」であり、クーリング・オフの趣旨である「消費者保護」にはあたらない
  • ただし、フランチャイズ契約の中身が「フランチャイズ商法」のような詐欺的契約である場合は、クーリング・オフが適用可能である

 

フランチャイズ起業するとき、多くの人は「有名だから」「儲かりそうだから」というような感覚値で行動しようとします。確かに、ネームバリューがあり店舗も増え続けているFCであれば上手くいくこともあります。

しかし、その一方で「広告が上手い」という理由だけで有名になってしまうFCモデルも存在します。つまり、全く儲からないにも関わらず、ブランディングや集客技術が高いことで加盟者が増加する現象が起きているのです。もちろん、加盟者は利益をあげることができず、結果的に苦しい生活を送ることになります。

フランチャイズ本部のキャッチコピーや収益モデルを鵜呑みにしてはいけない、ということです。そして、真実を解き明かすためには、自身で収益モデル分析を行えるようになる必要があります。開業前資金やイニシャルコスト、借入返済計画や損益計算書などを独自に作成できなければならないということです。

もちろん、本部が開示している数値を当て込むだけでは意味がないため、内外装工事における平均坪単価を調べたり、一般的な物件取得費用を理解したりする必要があるわけです。

もっと言えば、ランニングコストとなる「採用教育費」「広告宣伝費」「福利厚生」「通信費」「光熱費」「地代・家賃」「雑費」「租税公課」といった項目に適切な数値を入れることで、ようやく「本当に儲かるのかどうか」がわかるようになるのです。つまり、経験値から生まれる「プロの視点」が求められるということです。

ただ、そうは言っても多くの人は素人であるため、不可能な話です。そこで、私が代行してすべての数値を明らかにし、「現実的に儲かる可能性の高いFCモデルのみ」部門別、かつランキング形式で掲載しています。「真実の数値」を解き明かし、その根拠を理解することでフランチャイズビジネスは成功します。

お勧めフランチャイズランキング

 

スポンサーリンク

© 2023 Liberty Earth Inc