公文(kumon)の先生は大変なのか?後悔などの【本音】を公開

公文

世界フランチャイズランキングでも上位ランカーである「公文(くもん)」ですが、実際にフランチャイズとして開業した場合や、公文の先生として働いたらどうなのでしょうか。

一般的なビジネスプランニング上では、教育業界への参入は"うま味”が少なく、日本の抱える少子化などの外的要因からも、必ずしもおすすめできるフランチャイズモデルとは言えません。

またビジネスモデル自体が「消費者へのサービス提供」というよりは、「教育(=聖職)」としての側面が強いという特殊性を持ちます。つまり、事業者自体に求められる資質として、金銭的収入よりも教育理念や理想などマインド面が強く求められるのです。

このようにビジネスモデル自体の特殊性や日本の少子化などが関係し、インターネット上では公文にまつわる話題として、「大変」「後悔した」などの声が多いです。

今回の記事では、公文の開業を検討している方や働こうと思っている方向けに、公文を取り巻く業界構造から、実際の関係者の本音部分までを公開します。

記事の内容

  • 公文の先生は大変:(KUMON)運営会社について
  • 運営企業の概要
    株式会社公文式教育研究会
  • 教育理念と教育方針
    公文は教育を通じた社会貢献
  • 教育業界の構造分析
  • 5つの力(5F/5フォース分析)とは
    ビジネスプランニングや業界分析を行う際に用いられるフレームワーク
  • (例)『5つの力』を利用した「マクドナルド」の分析
  • 【例】フレームワークを利用した「公文」の分析
  • 【本音】公文の先生は大変(アルバイト・パート)
  • 開業して後悔
    業界自体を取り巻く環境が厳しい
    オーナー自身が儲かっていない?
  • 総括:公文の先生は大変!開業の後悔と経営の本音

執筆:フランチャイズLABO
経歴:元飲食店経営者・最大4店舗運営・年商2億5000万円~従業員数120人~

公文の先生は大変:(KUMON)運営会社について

『株式会社公文式教育研究会』を正式社名とした、大阪府に本社を持つ企業です。企業形態は株式会社であるものの、現時点では非上場企業です。ただし、有価証券報告書などは提示されており、以下に記載した企業情報のとおり非常に大きな会社です。

コア事業は「教育」で、教育教材の開発だけでなく世界各国へのフランチャイズ展開および、フランチャイズ本部としての機能も持っています。また、傘下には「くもん出版」を連結で抱えており、自社教室以外でもKUMONのブランドで、教材販売を行っています。

運営企業の概要

会社名 株式会社 公文教育研究会
代表取締役社長 池上秀徳
所在地 <大阪> 〒532-8511 大阪府大阪市淀川区西中島5丁目6番6号 公文教育会館
<東京>〒108-0074 東京都港区高輪4丁目10番18号 京急第1ビル 12階
大代表電話 06-6838-2611
創立 1958年7月(昭和33年)
設立 1962年8月(昭和37年)
資本金 44億18百万円(2020年3月決算時点)
連結売上高 917億70百万円(2020年3月決算時点)
連結経常利益 132億25百万円(2020年3月決算時点)
拠点数 国内65カ所、海外101カ所(2020年12月時点)
従業員 KUMONグループ全体 4,151人(2020年3月時点)
事業内容 1,算数・数学、英語、国語(母国語)、フランス語、ドイツ語、日本語、書写、学習療法などのフランチャイザーとしての教材の研究開発、制作、指導法の研究、ならびに教室の設置・運営管理。
2、児童書、絵本などの出版および教具、知育玩具など教育関連商品の開発ならびに販売。

教育理念と教育方針

公文は教育を通じた社会貢献を理念として掲げ活動しています。また、教育においては、一般的な「教える」を前提とした塾とは異なり、公文は「児童が自ら考えて答えを導き出す」ことに重点を置いている点が、特徴です。

公文の理念

われわれは 個々の人間に与えられている可能性を発見し その能力を最大限に伸ばすことにより 健全にして有能な人材の育成をはかり 地球社会に貢献する

引用:KUMON公式サイト

教育業界の構造分析

分析

現在の日本市場における「教育」業界を構造分析すると必ずしも順調とは言えず、参入をお勧めすることはできません。また、今回の記事のテーマである、『KUMONの先生が大変』や『後悔』なども、この業界分析によりある程度理由が分かるでしょう。

今回は、経営分析で用いられるフレームワークの一つ、『5つの力(ファイブフォース分析)』を用いて解説します。

5つの力(5F/5フォース分析)とは

『5つの力(5フォース分析)』とは、ビジネスプランニングや業界分析を行う際に用いられるフレームワークのひとつです。この『5つの力』では、分析対象の業界を取り巻く「競合」「売り手」「買い手」「新規参入」「代替品」の5つの競争要因を客観的に分析し、参入しようとするビジネス業界の競争要因や収益性などを可視化できます。そのため、どのような条件だと競争が激しくなり収益性が下がるのか?などを分析することが可能です。

5F分析_基本

出所:筆者作成

(例)『5つの力』を利用した「マクドナルド」の分析

上のフレームワークを使用し、世界的なフランチャイズとして知られているマクドナルドを例に分析してみました。業界を「ハンバーガー」としてみた場合、それぞれ「競合」「売り手」「買い手」「新規参入」「代替品」がどのようになるのかを見てみましょう。

5F分析

出所:筆者作成

同業界ではロッテリアやケンタッキー、バーガーキングなどが有名です。また、代替品としては同じ種類の製品を扱うコンビニや牛丼チェーン店などファストフード全般が代替品となります。このように「ハンバーガー」業界における構造を分析すると、業界内はすでに飽和状態であり、代替品の脅威も強く、さらに消費者の交渉力が強いという結果でした。以上からも、必ずしもうまみのある市場とはいえないでしょう。

もうすこし詳しく解説します。

市場自体がすでに飽和というのは、同様の業種が多数あり類似品の蔓延や価格競争の激化など、商品の差別化が難しくしのぎを削っている状況を指します。また、代替可能なサービスが多いという点は図示したとおり、近接する業界もまた飽和状態に陥っており、ユーザー(消費者)にとってみれば選択肢可能な商品は多く、どれを選んでも問題はない状況を生み出しています。つまり、「買い手である消費者のスイッチリスクは低く交渉力は高い」と言えるのです。

このように、ユーザー(消費者)のスイッチリスクが低い状況は、前提として業界自体の魅力度は低いと言えます。

【例】フレームワークを利用した「公文」の分析

先述のとおり、日本は少子化の影響もあり買い手(ユーザー)が少ないうえ、「教育」業界は競争が激化しています。『5つの力』による分析でも、公文を取り巻く「教育業界」は、参入のうま味が低いという結果となりました。詳しく見ていきましょう。

5F分析

出所:筆者作成

公文を取り巻く事業環境は、同業界内でも有名・無名関わらず多くの塾が存在し、競合同士でしのぎを削っている状況です。また代替品となる「通信教育」「オンライン指導」「個別指導」なども現在は人気があり、大衆的な「街の塾」とは差別化されている点や、後述する買い手(ユーザー)の動向にもマッチしているため脅威となり得ます。

新規参入としては、リクルートの始めた『スタディサプリ』などが有名でしょう。こちらも同社独自のビッグデータの活用や「5教科受け放題」など、柔軟な戦略を立てられる異業種参入者であるため、市場へのインパクトは大きく脅威度は比較的高いと想定されます。

一方、買い手であるユーザー(主に子供の親)にとっては、家から近く(送り迎えがラク)、月謝が安いなどが購入(入塾)の条件です。現在は両親共働きの家庭も多く、なるべく親の負担が少ない(子供が自宅でかってに勉強してくれる)仕組みも人気です。絶対的に「公文の教育理念でなければならない」という程のファンでない限りは、スイッチリスクが低いという点から買い手の交渉力は強いと言えます。

最後に売り手である講師については、予備校講師などとは異なり知名度を必要としません。そのため、賃上げなどの交渉力は低いと言えます。

【本音】公文の先生は大変(アルバイト・パート)

公文の先生としてアルバイトやアシスタントを経験した方の体験談です。「楽しかった」「やりがいを感じた」などもありましたが、アルバイト故に経営者から理不尽な仕打ちを受けたりと可哀そうな側面も見られました。『5つの力』分析では軽くしか触れていませんが、こちらは『売り手の交渉力が弱い』ことに起因しています。以下は、個人が特定できないレベルで修正をしておりますが、経験者の【大変】という声を一部ご紹介します。

  • 公文にバイトで入りました。お世辞にも儲かっているようなオーナーではなく、イライラをぶつけられたりと大変でした。保護者の対応などもしましたが、一番怖かったのは親からのクレームです。自分がお世話になった教室とは別の教室ですが、経営不振で経営者が変わっているのを見ています。自分で教室を開きたいとは思わなかったです。
  • 採点補助などのアシスタントは時給850円以上となっており、お世辞にも他のバイトと比べて高給とは言えません。また、他のバイトと比べて楽かと言われると決して楽ではなく、募集要項以外のお手伝いなどもすることもあります。経営状態は詳しくは知りませんでしたが、それほど大きな教室でもなく儲かっているようには見えませんでした。そんな中バイト代を上げて欲しいとも言えずに1年ほどで辞めてしまいました。

開業して後悔

公文を開業して儲かったというオーナーの声はほとんどありませんでした。多くは低所得となり【後悔】しているとの声や、本部の対応力の低さを思わせるものもありました。先ほどご紹介した『5つの力』の分析でも業界自体を取り巻く環境が厳しく、オーナー自身が儲かっていないと思われます。こちらも、個人が特定できないレベルで修正をしておりますが、開業者・オーナーの【後悔】の声を、一部ご紹介します。

  • 近年ニュースなどでも話題の「モンスターペアレント」がいます。やはりこちらにもクレームを入れてくるため、対応が大変でした。接客などの経験もなく開校してしまったため、クレームの対応だけでも対応の仕方がわからず、疲弊します。個別のクレームに関して本部が間に入るようなことも無いため、クレーム対応力が無いと本当に大変です。親としても、通常の学校(義務教育)とは異なり期待をよせて通わせているだけに、学校に対するクレームより、クレーム内容は厳しいのではないでしょうか。「やりがい」や「子供が好き」という理想だけで開校すると現実的には厳しいかもしれません。
  • 生徒が減少し儲からず、不安です。教室を開いた地域が子供も多くなく良くなかった可能性もあります。一般的な文教地区などには該当しているのですが、立地として商業施設側というのもあるかもしれません。
  • 引継ぎで事業を始めましたが、まったく儲からずに1年で閉業しました。時給に換算して1000円以下くらいでした。自身の生活を維持するのも厳しく、持たなかったです。引きついだ塾自体は直営でしたが、古かったためリフォームをお願いしました。しかし、リフォームは個人でやってくださいと補助などには応じてくれませんでした。収入が少ないうえに、リフォーム費用までは捻出できず、短期間で閉業としました。
  • 低所得とも言えないレベルの収入でした。インターネットでは、公文の先生はロイヤリティが高すぎて、6割は平均月収が3万円以下とのうわさがあります。自分はそこまで低くはなかったですが、生活可能水準ギリギリという状況でした。

総括:公文の先生は大変!開業の後悔と経営の本音

今回の記事では、『公文(kumon)の先生は大変なのか?後悔などの【本音】を公開』と題して、解説しました。簡単にまとめます。

  • 日本では少子化により市場規模が縮小
  • 業界分析を行うフレームワーク『5つの力』では、「競合」「売り手」「買い手」「新規参入」「代替品」などを客観的に見て事業参入のうま味を可視化することが可能
  • 『5つの力』では、マクドナルドなどのハンバーガー業界は、参入のうま味は低いとの結果
  • 公文も同様に『5つの力』で分析すると、参入のうま味は低いとの結果となる
  • アルバイトなどの【本音】では、オーナーとの衝突や親からのクレームなど大変との声が多い
  • 実際に開業したオーナー自身の【本音】も、儲からないといった声が多数

部門別:儲かるFCランキング

 

フランチャイズ起業するとき、多くの人は「有名だから」「儲かりそうだから」というような感覚値で行動しようとします。確かに、ネームバリューがあり店舗も増え続けているFCであれば上手くいくこともあります。

しかし、その一方で「広告が上手い」という理由だけで有名になってしまうFCモデルも存在します。つまり、全く儲からないにも関わらず、ブランディングや集客技術が高いことで加盟者が増加する現象が起きているのです。もちろん、加盟者は利益をあげることができず、結果的に苦しい生活を送ることになります。

フランチャイズ本部のキャッチコピーや収益モデルを鵜呑みにしてはいけない、ということです。そして、真実を解き明かすためには、自身で収益モデル分析を行えるようになる必要があります。開業前資金やイニシャルコスト、借入返済計画や損益計算書などを独自に作成できなければならないということです。

もちろん、本部が開示している数値を当て込むだけでは意味がないため、内外装工事における平均坪単価を調べたり、一般的な物件取得費用を理解したりする必要があるわけです。

もっと言えば、ランニングコストとなる「採用教育費」「広告宣伝費」「福利厚生」「通信費」「光熱費」「地代・家賃」「雑費」「租税公課」といった項目に適切な数値を入れることで、ようやく「本当に儲かるのかどうか」がわかるようになるのです。つまり、経験値から生まれる「プロの視点」が求められるということです。

ただ、そうは言っても多くの人は素人であるため、不可能な話です。そこで、私が代行してすべての数値を明らかにし、「現実的に儲かる可能性の高いFCモデルのみ」部門別、かつランキング形式で掲載しています。「真実の数値」を解き明かし、その根拠を理解することでフランチャイズビジネスは成功します。

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