カフェ経営は儲からない【開業しても失敗します】

カフェ:儲からない

まずはタイトル通り、「カフェ経営は儲からない」「開業しても失敗します」と宣言しておきます。残念ながらこれが事実であり、今後稼げるようになる可能性も【極めて低い】ためです。

これについて、「かなり」詳しく解説します。

記事の内容

  • カフェが儲からない理由
  • 飲食店モデルの4つの形態
  • 出店リスクの大きさ
  • 人的リスクの大きさ
  • 夜間の集客について
  • 実際のプロフィット(損益)
  • 回収期間・年間利回り
  • 市場動向・推移
  • テイクアウト市場の拡大
  • 結論

執筆:フランチャイズLABO
執筆者経歴:元飲食店経営者・最大4店舗運営・年商2億5000万円以上・従業員数120人以上

カフェ経営は儲からない【最も避けるべき業態】

カフェ:儲からない

カフェ経営が儲からない理由はあまりにも多いため、順番に解説していきます。知人のリアルなプロフィットも公開しているため、読み終える頃にはカフェ以外の起業を志すようになるはずです。

もっと言うと、そうなるよう願っています。

最も避けるべき【低単価滞在型】

まず、飲食店モデルには以下4種類の形態が存在します。

4種類の形態

  • 低単価/回転型 = 客単価が低い・滞在時間が短い
  • 低単価/滞在型 = 客単価が低い・滞在時間が長い
  • 高単価/回転型 = 客単価が高い・滞在時間が短い
  • 高単価/滞在型 = 客単価が高い・滞在時間が長い

1~4番のモデルに対し、あなたはどの形態で商売を始めたいと思うでしょうか。 素直に考えれば、最も稼げる3番の「高単価・回転型」を行いたいと思うはずです。しかし、残念ながら3番のビジネスモデルは成立しません。飲食の場合、高単価イコール高級店であり、滞在時間を長くしなければ顧客満足度を高めることが難しいからです。そうなると、リピーター化も困難になってしまいます。

結論から言ってしまえば、「1」「4」の形態どちらか一方を選ぶのが、儲かる飲食店のセオリーです。これが基本とされており、周りの繁盛店を見渡せば事実だとわかるはずです。

そして残念ながら、カフェは「2」の【低単価/滞在型 = 客単価が低い・滞在時間が長い】という、最も稼ぎにくくハードルの高い業態にあたります。

大きな店舗が必要になる

カフェは、お客がコーヒー1杯500円で2時間以上居座る世界です。もちろん、中には食事をする人もいますが双方滞在時間は長くなる傾向にあります。「カフェはゆっくりする場所」という共通認識があるためです。

そうなると、ある程度利益をあげるには「大型店舗」が必要になります。低単価、かつ回転率が悪い分、席数を多くしてお客で埋め尽くさなければならないということです。こうしなければ、利益は出ません。

当たり前ですが、店舗を大きくすれば地代家賃も大きくなります。その上、大型店舗には多くの従業員が必要になり、必然的に人件費も膨らみます。そして、多くの人を雇うということは、採用教育費も高騰します。

例えばアルバイトを1名採用するとき、2014年時点では1人あたりの平均コストが52,000円でした。しかし、ここ数年で悲惨なほど人手不足となり、100,000円以上のコストが必要になってしまいました。正社員に至っては400,000円を超えます。もちろん、業種や人気、ブランド力により異なるものの、人が多いだけで採用教育費はかさみます。

従業員が多く必要=人的リスクの上昇

従業員が多くなれば人件費の増大だけでなく、「人的リスク」にもさらされます。例えば、次のようなことです。

人的リスク:例

  • 不景気でも従業員は簡単に解雇できない(パート・アルバイトであっても)
  • 急遽出社できない(急用・子供の熱など)=業務が回らない
  • 突然の退社=業務が回らない
  • 一人前になるまで時間がかかる=教育コスト増
  • 問題児の存在=教育コスト増

上記の通りです。これらをきちんとコントロールできなければ、サービスレベルはダウンし、売上も低下します。こうした人的リスクにさらされながら経営を続けなければなりません。

駐車場台数も多く必要(郊外型)

カフェには、多くの駐車場も必要になります。一人で来店するお客が非常に多いためです。もっと言うと、例えば4人でカフェを利用するとき、店舗を待ち合わせ場所として4台の車で来ることもあります。たった4人で4台の駐車場が使用不可能になるわけです。

例えばある日、私は業者との打ち合わせでカフェを利用することになりました。このときの人数は6人で現地集合です。何の悪気もなかったものの、気が付いたら6人で6台の駐車場を潰す最悪のお客になっていました。同業者の私であっても不意にこうしたことをやってしまうわけであり、一般人なら尚更です。

たとえ席数を多くしたとしても、駐車場台数が少なければ満席にはならないということです。そうなれば当然、利益も出ません。

夜の集客が難しい

ここでひとつ質門をさせてください。18時以降、「カフェに行きたいな」と思ったことはあるでしょうか。それは、何回ほどでしょうか。おそらく、全くないか数えるほどしかないと思います。

基本的に18時以降の我々の生活は、「夕食を食べる」「お風呂に入る」「ほっと一息」「就寝」です。「ほっと一息」の中に、「晩酌or居酒屋」がハマったとしてもティータイム(カフェ)が入る余地はありません。つまり、かなりカフェ好きな人や仕事で使う人以外は利用しないため、「夜の集客は難しい」ということです。

「食事色の強いカフェ」、または「カフェバー」であれば多少集客できますが、いずれも「料理店」「居酒屋」「バー」のように「一色の業態」には劣ります。利用ユーザーからすると、「○○カフェ」「カフェ○○」など二色の業態は用途が分かり辛いためです。何屋なのかハッキリわからず中途半端な訴求になり、普通のカフェとして認識されるようになります。

カフェを開業しても儲からない【数字を見てほしい】

カフェ:儲からない

では、結局のところカフェの収益はどれほどなのでしょうか。

ここで、某カフェFCで開業した知人のプロフィットを公開します。私が知り合った頃はすでに開業済みであったため、止めようもありませんでした。「FC名は伏せることを条件」に許諾を得て記載しますが、言ってしまえば悲惨な状況です。

カフェの収益【知人の事例】

まずは、出店条件から確認していきます。

【出店条件】

  • 物件取得費用(仲介)/1ヶ月/1,150,000円
  • 敷金6ヵ月:6,900,000円
  • 工事期間空家賃:1ヵ月/1,150,000円
  • 加盟金:3,500,000円
  • 保証金:2,500,000円
  • 設計監修費:2,500,000円
  • 研修費:500,000円
  • 開業費用:5,200,000円 
  • 内外装工事費:35,500,000円 ※厨房設備含む
  • 運転資金:2,000,000円
  • 雑費:1,000,000円
  • イニシャルコスト:61,900,000円(税抜き)
  • イニシャルコスト:68,090,000円(税込み)

【返済計画】

  • 自己資金:0円 ※実績ある法人のため70,000,000円借入
  • 借入金:70,000,000円/金利1.5%/元金均等/10年返済
  • 初月返済額:670,833円
  • 総返済額:75,293,700円
  • 利息合計:5,293,700円
  • 利息割合:7.03%
  • 支払金利(変動):44,114円

【運営条件】

  • 地方中心街:45坪
  • 地代家賃:1,150,000円
  • ロイヤリティ:3%
  • 機材使用料:200,000円
  • 正社員:3人 ※給与300,000円
  • オーナーは現場に出ない

この時点で、とんでもない出店リスクを負っていますが実際の中身を確認していきます。

カフェ:経営プロフィット(損益/単月)

知人のカフェFC:8,700,000円/売上高
科目 数値 % 備考
売上高 8,700,000 100.0  
原価 2,440,000 28.0  
粗利益 6,260,000 72.0  
 
給与手当 2,480,000 28.5 ※正社員3名含む
福利厚生 144,000 1.7  
採用広告費 300,000 3.4  
通信費 12,000 0.1  
販売促進費 60,000 0.7  
消耗品費 50,000 0.6  
修繕費(積立) 20,000 0.2 ※実際には計上されない経費
水道光熱費 260,000 3.0  
新聞図書費 50,000 0.6  
支払手数料 10,000 0.11  
地代家賃 1,150,000 13.2  
賃借料 0 0.0  
産廃処理費 18,000 0.2  
保険料(積立) 20,000 0.2 ※実際には計上されない経費
租税公課 0 0.0  
減価償却費 316,667 3.6 ※計上されるが実際には減らないお金
雑費 30,000 0.3  
施設管理費 20,000 0.2  
ロイヤリティ 240,000 2.8  
システム利用料 210,000 2.4  
販売管理費 5,390,667 62.0  
 
営業利益 869,333 10.0  
支払利息 13,864 0.2  
経常利益 855,469 9.8  
 
借入元本返済額/月 670,833    
減価償却費 316,667    
減価償却値・借入元本相殺 354,166  
預金可能額(本部収益) 501,303    
オーナー所得可能額 350,912   ※預金可能額×70%

上記の通り、経常利益855,469円(9.8%)、本部収益は501,303円という損益です。

これを見てどう思うでしょうか。もし、「500,000円以上収益が出ているから良いじゃないか」と思うようなら危険です。売上高に対し、少し横風が吹けば一瞬でマイナスに転換しかねない利益率(9.8%)のためです。8,700,000円売っているにも関わらず、雀の涙ごとき利益しか出ません。あまりにも利益効率が悪く、リスクだけ高い最悪のFCモデルだと感じます。

もっと言うと、個人では完全に不可能なほどイニシャルコストが高いです。前述の通り、カフェは中心街であってもある程度大箱にしなければ儲からないためです。街中でそれなりに大きなテナントを借りれば家賃が高いだけでなく、不動産仲介料や保証金、工事期間の空家賃なども金額が大きくなります。

この時点で最悪の数字が出ていますが、「回収期間」「年間利回り」を見ればより深刻なことがわかります。

回収期間を算出

回収期間:経常利益で計算

  • 68,090,000円/イニシャルコスト÷855,469円/経常利益=79.6ヵ月/運営期間
  • 79.6ヵ月/運営期間÷12ヵ月=6年3ヵ月/回収期間

経常利益で計算すると、6年3ヵ月の回収期間が必要になるとわかりました。「少し期間が長いくらいでは?」と思ったかもしれません。確かにその通りなのですが今回は借入金額が大きいため、元本返済を考慮して本部収益で再計算してみます。

回収期間:本部収益で計算

  • 68,090,000円/イニシャルコスト÷501,303円/経常利益=135.8ヵ月/運営期間
  • 135.8ヵ月/運営期間÷12ヵ月=11年3ヵ月/回収期間

このように、「本部の収益ベース」で考えれば元を取るのに11年3ヵ月も「ギリギリの運営をしていかなくてはならない」ということです。

年間利回りを算出

次は、回収期間と同じように「年間利回り」を計算します。投資として魅力的かどうか、という視点で確認します。

年間利回り:経常利益で計算

  • 855,469円/経常利益×12ヵ月=10,265,628円/年間経常利益
  • 10,265,628円/年間経常利益÷68,090,000円/イニシャルコスト×100=15.1%/年間利回り

この時点では、年間利回り15.1%です。一見して良い数字の部類に入りますがそうではありません。

年間利回り:本部収益で計算

  • 501,303円/経常利益×12ヵ月=6,015,636円/年間経常利益
  • 6,015,636円/年間経常利益÷68,090,000円/イニシャルコスト×100=8.8%/年間利回り

本部収益で考えると6.3%も下落し、年間利回りは8.8%という結果になりました。

例えば、「不動産投資」で考えれば悪い数字ではありません。むしろ、まあまあ良いです。ただ、飲食業という大きな負担がかかるビジネスでの利回り8.8%は「悪い数字」です。不動産のようにほぼ放置というわけにはいかないため、労力に見合わない利回りであり、やる価値はありません。

カフェは大手FCでもきつい

このように言うと、「コメダ珈琲なんか混雑していて凄いのでは?」という人がいます。確かにその通りであり、地元のコメダ珈琲もピークタイムには駐車場に停められないほど人が入っています。実際、加盟店舗数も右肩上がりであり、一般人から見れば儲かっていると思うのが普通です。しかし、ふたを開けてみればビジネスとしての魅力は微々たるものです。

例えば、私が一度だけお会いした人で多角経営をしている優秀な方がいます。下記の通り、さまざまな業態でビジネスをしています。

カフェは儲からない

このとき、コメダ珈琲についてお話をしましたがハッキリと「大して儲からない」と言っていました。出店コストに100,000,000~130,000,000円ほどかかるらしく、これまで私が述べた展開と同じ道のようです。つまり、忙しい割に利益が残らない避けるべきビジネスモデルだと言えます。「大手有名チェーンだからカフェでも大丈夫」とはなりません。

参考までに、下記がコメダ珈琲の店舗の規模感です。

  • 敷地面積:250坪~400坪(800㎡~1300㎡)
  • 建物面積:50坪から80坪(160㎡~250㎡)

数字を見ただけで、凄まじいイニシャルコストが必要だとわかります。こうなるとランニングコストも高いため、十分な利益を出すのは至難の業です。いずれにしても、個人で参入できる規模感ではないため、法人だけを集っているようです。※大手FC企業である「プロント・カフェバー」の記事も参考になります

市場推移・動向

カフェの市場推移については、ここ数年で緩やかに拡大しています。

カフェは儲からない

出典:岡三オンライン証券

ただ、あくまでもここ数年の話であり、過去すでに頭打ちしているようにも見えます。推移として若干の戻りはあるものの、再度頭打ちして下落トレンドに入っていく可能性が高いと予測します。「流行り病」の影響もあるためです。

店舗完結型ではきつい=テイクアウト市場の拡大

時はまさにコロナ禍です。ただでさえ、厳しいカフェという業態に更なる追い打ちをかけています。こうした世界では、「カフェでゆっくり」という意識そのものが次第に消え失せてしまうような気がします。完全に「不要不急」にあたってしまうためです。

ただ、ドライブスルーを完備したスターバックスのようなカフェであれば「それなりに」戦えるかもしれません。もっと言うと店舗は厨房のみとして、テイクアウト専門で勝負すれば希望はあります。

カフェは儲からない

出典:株式会社 富士経済PDF

時代の背景もあり、テイクアウト市場は激熱しています。2020年の時点で前年比プラス2.3%(20,000,000,000円)の増収見込みであり、2021年にはさらに拡大していきます。

つまり、裏を返せば「お客がテイクアウト市場に流れていく」ということであり、店舗完結型の飲食店には厳しい未来が待っていると予想できます。

夢でも止める

これまで、カフェ業態に対し残念なデータや悲観的な意見ばかり述べてきました。子供の頃からカフェ起業が夢だった人には辛い現実を突きつけてしまったかもしれません。しかし、それでも「止めたほうが良い」と私は言います。繰り返しますが、「儲からない可能性が高い」からです。

このとき、「日銭が稼げてその日暮らしができれば良い」「金のためにやるんじゃない」など無責任な発言をする人は多いです。でもそれはあなただけの考えです。奥さんや子供はそれで幸せになれるでしょうか。経済的に守ることはできるでしょうか。独りよがりの考えで、大切な人に辛い思いをさせないでしょうか。

今一度、立ち止まって考えてみてください。儲かるビジネスは、カフェではありません。

結論、カフェは儲からない【失敗リスクは高い】

私は決してカフェの存在を否定しているわけではありません。むしろ、カフェ自体は非常に好きで頻繁に利用しています。コーヒー1杯でも長居できる空気感が心を穏やかにしてくれるためです。しかし、いくら好きでも「ビジネスとして適切か」と考えれば「不適切」となるわけです。それは「全く別の話である」と理解してください。

記事のポイントをまとめます。

カフェは最も儲からない避けるべき業態

稼ぎにくい低単価滞在型
※ワンコインで2時間滞在が普通

イニシャルコストが高い
※大箱がが必要になる=固定費が高い

従業員が多く必要
※人件費や採用教育費の増加
※人的リスクの上昇

郊外型であれば駐車場台数が多く必要
※家賃額の上昇=固定費増大

夜の集客が難しい
※カフェ利用の習慣がない

実際の数字(損益)も悲惨

  • 労力と利益のバランスが悪すぎる
  • 回収期間が長い
  • 利回りも悪い

カフェは大手FCでも「大して儲からない」

市場は縮小していく可能性が高い

テイクアウト市場の拡大=店舗完結型飲食店はキツくなる

夢でも止めておこう

 

フランチャイズ起業するとき、多くの人は「有名だから」「儲かりそうだから」というような感覚値で行動しようとします。確かに、ネームバリューがあり店舗も増え続けているFCであれば上手くいくこともあります。

しかし、その一方で「広告が上手い」という理由だけで有名になってしまうFCモデルも存在します。つまり、全く儲からないにも関わらず、ブランディングや集客技術が高いことで加盟者が増加する現象が起きているのです。もちろん、加盟者は利益をあげることができず、結果的に苦しい生活を送ることになります。

フランチャイズ本部のキャッチコピーや収益モデルを鵜呑みにしてはいけない、ということです。そして、真実を解き明かすためには、自身で収益モデル分析を行えるようになる必要があります。開業前資金やイニシャルコスト、借入返済計画や損益計算書などを独自に作成できなければならないということです。

もちろん、本部が開示している数値を当て込むだけでは意味がないため、内外装工事における平均坪単価を調べたり、一般的な物件取得費用を理解したりする必要があるわけです。

もっと言えば、ランニングコストとなる「採用教育費」「広告宣伝費」「福利厚生」「通信費」「光熱費」「地代・家賃」「雑費」「租税公課」といった項目に適切な数値を入れることで、ようやく「本当に儲かるのかどうか」がわかるようになるのです。つまり、経験値から生まれる「プロの視点」が求められるということです。

ただ、そうは言っても多くの人は素人であるため、不可能な話です。そこで、私が代行してすべての数値を明らかにし、「現実的に儲かる可能性の高いFCモデルのみ」部門別、かつランキング形式で掲載しています。「真実の数値」を解き明かし、その根拠を理解することでフランチャイズビジネスは成功します。

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